第2弾

遠方の墓ほど、見積もりは三社そろえて比べよう

リビングのテーブルに、見積もりを並べる

お盆のあと、坂井進さん(71歳)の家のリビングには、だんだんと白い封筒が増えていきました。根室のお墓のこと。札幌から片道五時間。カヨさん(70歳)の足は、もう何度も根室までついてこられない。

進さんは最初、どこに相談すればいいのか分からなかったそうです。検索しても料金の幅が広すぎる。三十万円と言う業者もいれば、百万円を超える話も出てくる。貯蓄は三千万円あるとはいえ、老後の暮らしと重ねて考えると、ざっくりした見積もりでは決められなかった。

経験者が口をそろえる一言

墓じまいを終えた七十代の女性は、こう言います。「いちばん怖かったのは、『一式四十万円』だけの見積もり。現地に行ったら、重機が入らないから手作業で十五万追加、と言われた。」

業界の比較記事でも、三社以上の相見積もりが勧められています。解体費、廃棄処分、整地、行政手続きの代行。項目が分かれていない見積もりは、そのまま信じない方がいい、と。

進さんは電話とLINEで三社に同じ条件を伝えました。根室市の墓地、区画の広さ、檀家の有無、立会いは難しいこと。東京の長男には見積もりPDFを送り、画面共有で一緒に読みました。長女は札幌の自宅で、三人の表をノートに書き写したそうです。カヨさんは金額より、「誰が根室まで行くのか」を何度も尋ねました。それも大事な質問だと進さんは思ったそうです。

進さんが業者に聞いた四つのこと

安さだけでは選びませんでした。追加料金が出る条件を紙に書いてもらったか。改葬許可の書類を誰が取りに行くか。離檀の話し合いを誰がサポートするか。工事後の更地の写真をもらえるか。

一社は「うちだけで決めてください」と何度も言ってきた。進さんはそこで縁を切りました。比較を嫌がる業者は、比べられたくないだけだと長男が言ったからです。別の業者は、写真だけで見積もりを出し、現地調査は後回しにした。進さんは断りました。根室の墓地は海沿いの風当たりも強く、現地を見ない数字は信用できないと感じたからです。

最後に選んだのは、札幌から根室までの段取りを一本で説明してくれた業者でした。見積もりの行ごとに金額が並んでいて、カヨさんにも「これなら読めるね」と言ってもらえた。追加費用が出る条件も、小さな字で書かれていた。進さんは契約前に長男に電話し、「これで家族に説明できる」とだけ伝えたそうです。それだけで、気持ちがだいぶ前に進んだ。

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